ギミックを内蔵した精巧な模型と、その動きをリアルタイムに映像として投影する独自の表現で注目を集める美術家・映像作家、伊藤隆介。本展では、グランドスタジオ全体をひとつの「巨大劇場」に見立て、現実と映像、物質とイメージが絶えず交差する「リアリスティック・ヴァーチャリティ(現実的仮想)」の世界を創出します。
本展のテーマは、2000年以上にわたり外交と交易の要衝として発展してきた「福岡市」です。古代より大陸との交流を育み、多様な文化や人々を受け入れてきたこの地域には、歴史や人々の営みが幾重にも積み重なっています。
展示空間では、福岡が紡いできた「交流の軌跡」や、時代ごとに蓄積された「地層」を、模型と映像によるダイナミックなインスタレーションで空間いっぱいに視覚化。弥生時代から現代に至る福岡の力強いエネルギーを「走る女性」や「飛ぶ飛行機」などを通して象徴的に描き出し、躍動し続ける街の歴史とその記憶を呼び覚ましていきます。また、サブカル大国でもある福岡にゆかりのある、マンガやアニメとのコラボレーションも見どころのひとつです。
現実と仮想が重なり合う空間で、福岡という土地に積み重ねられてきた歴史、文化、そして人々の交流が生み出すエネルギーを、ぜひ全身で体感してください。
伊藤隆介 ITO Ryusuke
伊藤隆介は1963年北海道生まれの映像作家、美術家。1992年シカゴ美術館附属大学修士課程修了。映画をコラージュするファウンド・フッテージ作品や、模型・ジオラマを撮影・投影する「Realistic Virtuality」シリーズを展開し、現代社会を多角的に考察する作品を発表している。また、「村雨ケンジ」名義でマンガ、アニメ、映画などのメディア評論も行うなど多岐にわたる活動を展開している。2015年北海道文化奨励賞受賞。国内外で個展・グループ展を開催し、現在は北海道教育大学教授。福岡では個展「天神洋画劇場」(三菱地所アルティアム、2017年)が開催されたほか、「第3回福岡アジア美術トリエンナーレ2005 多重世界―平行するリアリティ」(福岡アジア美術館、2005年)にも参加している。
《Realistic Virtuality (Air Commuter)》 2001年
《こんなことは無かった》 2012年 “It Never Existed” 2012
《風景考》 2024年 “Landscape Studies” 2024